「香織」 ――――――メイクラブしながらこの名前を呼ぶのは、あなたが初めてよ。 「香織」 誰かの名前が、こんなに神聖なものになる。 「アキラ、んッ」 「香織・・・」 一度呼ぶと、歯止めが効かなくなった。 好きだと言う気持ちが、後から後から俺を突き動かす。 薄闇に浮かぶ香織の身体が、俺と繋がったところから激しく揺れる。 「ああ! やっ、アキラ」 何処からなんだろう、線引きは。 どれくらいキスをしたら? 何度SEXをしたら? 何百回好きと言えば・・・? 『あなたが初めてよ――――――』 俺のどうしようもない心の狭さから生まれた嫉妬に、こんなふうに応えようとしてくれる彼女に、 「香織」 額に浮かぶ汗を掌で拭ってやる。 「愛してる――――――」 律動をそのままに、何度も唇を啄ばむ。 「アキ、ラ」 「愛してる」 「ああっ、んッ、あ、」 「愛してる・・・」 「アキラ、あ、あっ、ッ――――――」 彼女に全身で伝えたい―――――― 「愛してる―――――― 香織・・・」 溶け合って、このまま一つになれれば、どれだけ幸せを感じるだろう―――。 このまま二人で呼吸が止まってもいいと、俺は本気で思っていた。 ――――・・・ |