月の光は、どうしてこんなに静かに地上に降りてくるんだろう。 雨のように雪のように、形を作ったり、 肌を焼く太陽のように、感覚に訴えたり、 そんなふうにわかりやすく教えてくれれば、 その存在の美しさに、 もっともっと気づけるはずなのに――――――。 ――――――だから、 こんなにも静かだから・・・、 その優しさにやっと気づいた時、 顔をあげても、もうその"月"はいなかった。 ――――――ねぇ、 涙で滲んだあたしの目では、 ただそこにあるものしか見えなかったよ。 あたしを包んでくれていた光が、 こんなにも切なく降り積もってきたものだなんて、 ―――――――知らなかったよ・・・。 |