小説:ColorChange


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愛に形はありますか?
《 Acting.by アキラ 》

 だだっ広い控室の中央に置かれた長い会議用テーブルとパイプ椅子。
 次の収録のためにTV局が用意してくれたこの部屋には、俺と藤間、事務所専属のヘアメイク担当八木さん、そしてカカシだけ。

 だから俺も、

 「俺の周りのスタッフはあんたの事知ってるから控室に入ってしまえば問題ない。藤間に入館パス用意させてるから、すぐ来れるか?」

 何となく左右が空けられて配置された一脚に座って、堂々と、電話の向こうで躊躇するケリを押し切る事が出来た。

 「来るだろ? ケリ?」

 『はい・・・』

 困ったように返事をしたケリ。
 俺がどこかで会話を切っていたら、別の用事を切りだしてデートをキャンセルしそうな気配だった。

 だんだんと読めてくる彼女の思考と行動パターン。
 可愛いけれど厄介でもある。
 気を抜くと、この前のようにサインを見逃してしまいそうだ。

 「待ってる」

 通話を終え、俺は向かいでシナリオに目を通していた藤間に声をかけた。

 「ケリが来る」

 ニヤリとする俺に、藤間がため息をついて目線をあげた。

 「心配しなくても臨時入館パスの発行申請は終わってます。2名分」
 「サンキュ」

 「ほんと信じられませんよ。TV局に恋人を呼ぶ芸能人なんて」

 藤間の悪態に、少し離れた席にいた八木さんとカカシが肩を揺らして笑っている。

 「ほんと嘘みたいに関白〜」
 「ですよね? 信じられないっすよ」

 実際、本人も驚いている部分はあるから他人の反応はこんなもんだと思う。
 何も言い返せずに目の前のペットボトルからお茶を飲んでやり過ごした。
 藤間がチラリと腕時計を見る。

 「そろそろパスの準備ができている頃なので受け取ってきます。あ、これ、目を通しておいてください」

 「了解」

 手渡されたのは映画宣伝番組のシナリオ。
 数人のゲストがそれぞれに出演している作品を紹介できるシネマ番組だ。
 何度か出演した事があるから要領は得ているが、念のため、藤間が出て行くのを見送った後にぱらぱらと捲ってみる。
 構成もパターン化されているし、この手の番組はどちらかと言うと出演する方よりも編集担当の力量が試されるものだ。

 「!」

 俺はゲスト欄で思わず目を留めた。

 ミッシェル・ハワード?

 日本に来ているのか――――。








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