「アキラ!!」 悲鳴に近い声でケリがその名を呼んだ時、およそ離れた位置にいた当の天城アキラは瞬時に反応して視線を巡らせ、あっという間に彼女の姿を見つけ出していた。 まるで宝物でも見つけたような彼の微笑みは、映画でも何度か見た事がある美しさで、愛しさを隠さない藍色の瞳の優しさは、これは仕事では危険すぎて使えないというほどに、甘くて悩殺的だった。 ――――が、 【Amazing・・・】 ハリウッドで、カメラが回ると豹変する俳優を何人も観てきた私が、思わずそう漏らしてしまうほど、 一瞬で、 アキラのその美しさが、"凶器"に変わった。 まるで彼の感情自体が刃物になったような、冷淡な空気。 「何度言えばわかるんだ?」 容赦無く、ケリの手首を掴んだアキラの内側からは、灼熱の愛情が迸る。 「俺以外の男に触らせるな」 日本語だから何を言っているのかは不明だったが、 ケリを包むように腕に抱いて、やっと安堵したような、悔しそうな――――。 歪んだ彼の美しい顔が、全てを語っているように私の心にも響いてきた。 突き刺すように、激しくケリに注がれるその愛情。 ケリ。 言葉が通じない私にも感じ取れるんだ。 君になら、もう十分に伝わっているだろう? 目の前のアキラを信じていいんだ。 君がケヴィンに強いられていた従順さなんて、所詮、ケヴィンが作り出して押しつけた、シンの為の偶像に過ぎないんだから・・・。 君がアキラと培っている恋は、間違いなく本物だよ。 そんな強い愛に包まれている君が、ケヴィンの呪縛に惑わされるはずはない―――。 否。 惑わされてはいけないんだ、ケリ――――――。 |