俺の告白は、少しは彼女の心に"波風"を立てる事はできたらしい。 車まではしっかりと歩いた彼女だったが、乗り込んだ途端に身体の緊張が解けたのが分かった。 ホッと息をつく仕草や、こちらを気にする様子が薄いスモークガラスの向こうにシルエットとして映っている。 あとは、俺の想いがどれだけ彼女の内側に浸食して響くか―――――。 「随分ストレートな方法を取ったんですね」 藤間が横に並んでポツリと言った。 「ん、そうだな。―――久しぶりに執着したかな」 大人とは呼べない方法だったかもしれない。 「まあ、アキラさんにあそこまで言われて落ちない女性はいないでしょうし、作戦はうまくいくんじゃないですか?」 「どうかな?」 「――――そう思うのなら、いつものフェロモン攻めしたら良かったんですよ」 「フェロモンねぇ」 それじゃあ、今までの彼女達と変わらない。 彼女は、ケリは、違うんだ。 今まで感じた事がないものが心底から無限に湧きあがって、優しく彼女を包みたがる。 「でも、ロケ変えした理由をアキラさんに伝える前に彼女と会ってしまったから、もうだめかと思いましたよ」 「ん?」 「遠一さんに聞いてたんですね?」 「―――?」 「でも、万が一、このストレート作戦が失敗したら、樋口さんきっと怒りますよ」 藤間が何を言ってるのか、全く理解不可能だった。 「―――お前、何の話をしてるんだ?」 「何のって、本宮ルビのスカウトの為に、バックアップスポンサーらしい彼女を落とせって、樋口、さんから―――って・・・・、―――え?」 徐々に怒りを露にする俺の顔色を見上げて、藤間は次第に続ける言葉を失った。 |