公園から、逃げ出すように走り出して、息を弾ませて家に着いて、まずは台所でお水を飲んだ。 秋も終わりのこの季節。 いつもならあったかい白湯の方が大好きなのに、なんだか喉の渇きが酷くて、ウォーターサーバーから冷水をグラスにいれた。 飲みこんだ冷たいお水の塊が、身体のどこを通っているのかわかるくらいに、あたし自身が発熱していた。 血の流れと共にある胸の鼓動。 全身に流れるものだから、熱は上がる一方で――――。 それでいて、体感する肌寒さとは違って、妙に慣れない、悪寒みたいな痺れがピリピリと指先まで走っていた。 『身体で払ってくれてもいいよ?』 耳に残る甘い囁き。 そう言いながらあたしの髪に触れてきた本宮君の指先が、微かに嘲笑するように動いた唇が、くっきりとした輪郭で、何度もあたしの視界をピンボケさせる。 あのクリーム色の髪。 ヒマワリが咲くヘーゼルの瞳。 誰もが思わずつられてしまう、振りまく甘い笑顔。 そんな本宮君を、みんなは王子様みたいだというけれど、 あたしは、 やっぱり、 本宮君は、苦手だ…………。 |