「はい、これ」 「――――――お袋?」 「バレンタインでしょ、今日」 「・・・それでわざわざ事務所に寄ったのか?」 「感謝しなさいよ」 「――――――ってか、初めてじゃねぇか? お袋がこんなちゃんとしたモンくれんの」 「・・・そう?」 「そうだろ? 大抵は親父のついでで、こんなまともなヤツもらった記憶、ほとんど無ぇぞ」 「・・・ま、今年は特別よ。カナダ土産も兼ねて」 「なんだ、またカナダか? 最近多いんだな」 「まぁね。向こうにちょっと複雑な 「ふうん? ――――――へぇ、月のチョコか。満ち欠けが綺麗に刻まれてる。凝ってんな」 「どれ? あら、ほんと素敵ね」 「・・・ 「パ、・・・パッケージでサッと選んだのよ。あんた良く月を見上げてるでしょ」 「・・・・・・ま、今日は朝までかかりそうだったから、エネルギー補給に使わせてもらう。サンキュ」 「―――――他の組員の分は下に置いてきたし、・・・コレは聖の分ね。この机でいい?」 「あ、・・・ああ」 「みんなの分、ちゃんとあるから」 「・・・?」 「だからそれ、お母様からの"有り難いチョコ"、ちゃんと一人で全部食べなさいよ、バカ息子」 「――――――は?」 「それじゃあね」 「・・・ちょ、おい、お袋? ・・・――――――ったく。なんだってんだ? ・・・・・・――――――甘ぇ」 イチ香(カ)より一言: 冴子さん、Good-jobデス! |