「ミサオ君、ほんとにお花、カサブランカで良かったの? 香りが強いからちょっと心配なんだけど・・・」 「大丈夫。あの二人には何よりの花だからさ〜」 「ならいいけど・・・」 「はい、着いた。美織、コンコンして?」 「はーい。コンコン。ミオです。コオくんいますか?」 「・・・」 「・・・」 「コオくん?」 「返事・・・ないわね」 「うん。――――――いないのかな? 開けるよ、和以」 「え、ちょっとミサオく」 「あ」 「え?」 「コオくん?」 「――――――あ、美織、だめだよ、起こしちゃ」 「コオくん、パパとママと、みんなでねんこしてるの?」 「うん。ねんねんこしてる」 「ミオも〜」 「だぁ〜め。美織はパパが抱っこね」 「ん、だっこ」 「―――――よいしょっと。・・・美冬、どっかで時間潰してから出直そ」 「そうね。――――――ふふ」 「何〜?」 「3人で・・・真ん中の和以さんが一番長い、変則"カワの字"ね」 「あ〜、だね〜」 「ベッド・・・くっつけちゃったのね」 「うん。和以がさ〜、薬漬けのフラフラの体で暴れるもんだから、 「そうなの・・・」 「・・・どうしたの? 美冬。・・・泣いてる?」 「・・・」 「美冬?」 「―――――良かったと思って」 「美冬・・・」 「ただ、良かったって、――――――本当に"良かった"って、なんだか溢れて来るの」 「・・・うん。ほんと、そうだね」 「ミサオ君・・・」 「うん。ほんとに、――――――"良かった"」 |